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35歳から39歳までの高齢出産(高年出産)

令和元年の厚生労働省の人口動態統計月報年計によると、過去5年間の平均初産年齢は30.7歳。昭和60年(1985年)は26.7歳なので、女性の社会進出と晩婚化によってどんどん初産年齢が上がっているのが確認できます。

そのデータによると、35歳~39歳で出産した女性は全体の23.23%という大きな割合を占めており、高齢出産は珍しいことではなくなりました。とはいっても20代の肉体と比べ、30代後半の身体機能は明らかに劣ってしまいます。そのため母体とお腹の赤ちゃんへの身体の負担や、妊娠中の合併症リスクも高くなるのが現実です。

高齢妊娠・出産(高年出産・妊娠)で上昇するリスク

高齢妊娠・出産において、確率が上昇するリスクのあるものをいくつか挙げます。

お腹の赤ちゃんの染色体異常

染色体異常の中でもよく知られているのがダウン症候群(21トリソミー)です。21番目の染色体が1本多くなる先天的な疾患のことで、母体の年齢の上昇とともに、ダウン症の発生確率が上昇します。

25歳の妊婦さん(16週)の場合、1,062人に1人の割合でダウン症が発生しますが、35歳では280人に1人、39歳では100人に1人と年齢とともに発生確率が高くなります。(※)

他にもエドワーズ症候群(18トリソミー)、パトー症候群(13トリソミー)も染色体の数の異常で起こる疾患として知られ、ダウン症と同様に母体の年齢とともに発症率が上昇します。

※参照元:Kypros H. Nicolaides: The 11-13⁺⁶weeks scan. Fetal Medicine Foundation, London, 2004.[PDF]

胎児の染色体異常もわかる
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流産

日本では、妊娠22週未満の出産を流産と定義しています。

妊娠22週目未満の流産は、染色体の異常など、受精段階で妊娠を継続できない状態であることが多く、20代の女性の流産率は10%前後ですが、35歳から39歳は約20%、40歳以上は40%まで確率が上昇します。これは年齢を重ねるほど卵子が老化するため、受精して子宮に着床してもうまく発達できないのが要因の1つだと考えられています。

難産になりやすい

産道や子宮頸管、子宮口は、妊婦さんの年齢が上がるほど硬くなっていきます。そのため、赤ちゃんの通り道である産道が広がりにくく、お産に時間がかかって難産になりやすいとされています。

骨盤の周りを柔らかくするには、無理のない範囲でマタニティヨガやストレッチなどを行うのがおすすめ。骨盤のまわりの筋力を鍛えて骨盤を広げておくとよいでしょう。

また胎盤が子宮口を覆う「前置胎盤」も、35歳以上は30歳未満に比べて約2倍となり、帝王切開が必要になる可能性も高まります。

高齢出産(高年出産)で発生しやすい合併症

最近は「肉体年齢を重ねるほど、先天的疾患や染色体異常を抱えた胎児の確率が上昇する」と広く認知されるようになりました。遺伝子や染色体レベルの事柄をどうにかすることはできませんが、高齢出産で起こりやすい合併症の知識を事前に知っておくことで、リスクを回避、または低減できる場合もあります。

こちらでは、高齢出産で発生しやすい代表的な合併症やリスクを紹介します。

妊娠高血圧症候群

妊娠高血圧症候群は、ひと昔前までは「妊娠中毒症」と呼ばれていました。全妊婦さんの20人に1人の割合で発生すると言われています。妊娠高血圧症候群は、妊娠20週以降に高血圧(最高血圧:140mmHg以上、または最低血圧が90mmHg以上のこと)と診断され、一度発症すると出産を終えるまでなかなか治らない疾患のことです。

妊娠高血症候群の大きな症状としては、むくみやタンパク尿が挙げられます。他にも脳出血や痙攣を引き起こしたり、胎児の発育不全などの事態を招いたりすることもあります。母体や胎児の状態が悪い場合は、早産であっても帝王切開で分娩するのが良いとされるケースも出てきます。

予防策としては、毎日1-3回の自宅での血圧測定と体重測定をしながら、栄養のバランスがとれた食事を心がけ、過食と偏食に気をつけること。そして毎日適度な運動で体を動かすことで、妊娠高血圧症候群の発症リスクを軽減できます。

妊娠糖尿病

今まで糖尿病に縁のなかった女性でも、妊娠によって血糖コントロールのバランスが崩れると糖尿病になりやすくなります。あるデータによると、35歳以上の妊婦さんは20代前半の妊婦さんに比べて、約8倍の発症頻度が認められています。

妊娠糖尿病になると、妊娠高血圧症候群などの合併症を起こす可能性があるほか、巨大児、低出生体重児などお腹の赤ちゃんにも影響を及ぼします。

妊娠糖尿病のリスクを軽減するには、栄養バランスを考えながら、塩分の制限、高たんぱく質・低カロリーの食事メニューにするなど食生活に気を付けることが大切です。また、無理のない程度の運動を毎日行いましょう。

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Dr.ぷぅからの一言
夫律子先生

私のところに来られる患者様の6-7割は35歳以上で胎児のことを心配しておられる方です。上に書いてあるような心配は確かにありますが、元気な赤ちゃんを無事に産んで子育てをされている方もたくさんおられます。年齢を戻すことはできません。「20歳代で妊娠していたら・・・」などと考えず、心配をひとつずつなくしていきながら前向きに考えていきましょう。

夫律子先生

夫 律子(ぷぅ りつこ)

クリフム出生前診断クリニック 院長(日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医/日本超音波医学会認定超音波専門医/日本人類遺伝学会・日本遺伝カウンセリング学会認定 臨床遺伝専門医ほか)

【監修】クリフム
出生前診断クリニック
日本初の胎児診断専門施設

分娩・不妊治療・婦人科治療は扱わず、胎児診断を専門とする施設として2006年に開院。絨毛検査13,414件・羊水検査2,098件と、専門施設として実績豊富(2009年~2019年累計)。大学病院から紹介があるほど医療関係者から信頼が厚く、全国から妊婦さんが集まります。

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