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無頭蓋症・無脳症

無頭蓋症・無脳症はどのような病気なのでしょうか?また出生前診断で、事前に知ることはできるのでしょうか?このページで詳しく紹介していきます。

どうやって無頭蓋症・無脳症と診断されるの?

妊娠のごく早期に神経管という管が赤ちゃんの背中にでき、これを神経管閉鎖といいます。頭のほうでうまく神経管閉鎖が行われない時に、無頭蓋症(むとうがいしょう)となります。

無脳症とは、生まれつき大脳の欠損が見られる病気のことです。そして無頭蓋症とは、何らかの原因で妊娠初期に頭部の皮膚や頭蓋骨が正常に形成されないことです。頭蓋骨が欠如していることで脳実質が羊水にさらされますが、赤ちゃんは元気に動いて頭を子宮の壁にぶつけ、そのため脳組織が散り散りとなり、無脳症に至ります。

そのため無脳症と無頭蓋症は「一連の病態」と考えられています。

無頭蓋症の診断は、妊娠中の妊婦健診でわかります。超音波(エコー)検査で胎児の頭に丸みがなかったり頭の一部が映らなかったりなど、異常がみられた時に疑われます。時期的には妊娠9週目以降です。

生まれる前の検査方法

無脳症の診断は、超音波の画像で診断されます。ただ、神経管閉鎖不全による無頭蓋症と似た別の病気もあります。例えば羊膜索症候群や部分頭蓋欠損、脳瘤などです。発生・予後などに違いがあるため、頭のかたちが不整であると言われた場合には専門的な超音波検査を受けることが勧められます。

生まれる前の検査や
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無頭蓋症・無脳症の発症理由

無脳症と無頭蓋症は神経管閉鎖障害の一種です。受精後4~5週間頃に何らかの理由で神経管の上部で閉鎖障害が起こり、脳の形成が不完全になることで発症します。

その要因として挙げられているのが、胎児の染色体異常や妊婦さんの食生活などですが、詳しいことはまだ解明されていません。

妊活時や妊娠初期に推奨される「葉酸」は、細胞の生産や分裂に関わる大切な栄養素。諸外国では葉酸を摂取すると神経管閉鎖不全の頻度が下がると実証されているため、厚生労働省からも妊娠初期に1日0.4mgの摂取を呼びかけています。ただ、葉酸を十分に摂取したとしても、無脳症の発症は他の要因とも複雑に絡み合っているため、100%無脳症や無頭蓋症を防ぐとは限りません。

また、妊娠のごく初期に葉酸摂取を開始したのでは遅いと言われています。要体内の葉酸濃度はすぐには上昇せずしばらく時間がかかると言われているためです。妊娠してから葉酸摂取を開始するのではなく、妊娠の少なくとも1ヶ月以上前から摂取することが勧められています。

しかし、無頭蓋症などの発症原因についての不明点はまだ多いため、妊婦さんが自分自身を責める必要はまったくありません。葉酸で100%防げるものではないことを心に留めておいてください。

無頭蓋症・無脳症とは

先天的な脳疾患である無脳症と無頭蓋症について、もう少し詳しく解説していきます。

妊娠超初期に発症する

ヒトの脳は脊髄の先端が膨らみ発達してきたものです。脊髄や脳は胎児の「神経管」と呼ばれる管状の細胞から形成されます。胎児の成長にともない、頭のほうは「脳神経」、背中のほうは「脊髄神経」となります。

無頭蓋症や無脳症は、受精後4週間頃の妊娠超初期に、何らかの理由で神経管頭部の閉鎖がうまくいかず、神経管の発達が妨げられたことで発生すると言われています。神経管閉鎖不全の最も重度の形態が無脳症です。

1,000人に1人の割合で発生

神経管前部の閉鎖不全などにより起こる「無脳症」や「無頭蓋症」は、日本においては約1,000人に1人の割合で発生するとされています。ただ、統計数は国によって異なるようです。

無頭蓋症・無脳症の治療方法

残念ながら無脳症や無頭蓋症の赤ちゃんへの治療法はありません。

無脳症の赤ちゃんの場合、脳以外の体部に異常がないケースが多いので、出産までは生命を維持できます。しかし出産しても出産直後に亡くなってしまい、生命を維持できないケースがほとんどです。

実際には妊婦健診で胎児が無脳症や無頭蓋症とわかった場合、その致死性の高さから人工妊娠中絶を選択する妊婦さんとそのご家族がほとんどであるのが現状です。

無脳症や無頭蓋症と診断されたとき、妊婦さんとご家族は大きな不安と悲しみを背負うことになります。1人で悩みを抱え込まず、かかりつけ医や専門家から適切な支援を受けることが大切です。

また、お腹の赤ちゃんの脳の発育状況を詳しく知りたい場合は、脳の発達に詳しい産婦人科医に診てもらうことをおすすめします。

お腹の赤ちゃんの頭部や脳を調べるには

出生前診断とひとくちに言っても、クリニックによっては検査項目が異なるほか、医師の専門分野によっても診断できる範囲が変わってきます。

当サイトを監修してくださっている「クリフム出生前診断クリニック」では、胎児脳の権威である夫律子院長がお腹の赤ちゃんの頭部や脳を詳しく検査しています。

夫院長はこれまで多数の論文を発表されており、胎児脳に関する書籍も海外で3冊出版されるなど、お腹の赤ちゃんの脳を25年以上診てきた産婦人科医です。2019年には、クリニックがあるビル4階に「胎児脳センター」という名前の専用フロアを設け、胎児の脳ドックを提供しています。超音波検査を補完する画像検査として、梅田脳・脊髄・神経クリニックと提携してMRI検査も実施しているようです。

お腹の赤ちゃんの頭部や脳のことで心配なことがあれば、ぜひ相談してみてください。

胎児の脳ドックの詳細を
公式サイトで確認してみる

Dr.ぷぅからの一言
夫律子先生

無頭蓋症を疑われて妊娠10週前後に来られる方が昔よりも増えているように思います。それは、クリニックなどでの超音波検査の精度が上がったことも要因にあるでしょう。ただ、上にも書いているように、神経管閉鎖不全である無頭蓋症と似た別の病気もあります。それにより診断名も異なり、次の妊娠についてのカウンセリング内容も変わってきます。頭の形がいびつだと言われた方は、専門の超音波検査を受けることをお勧めいたします。

夫律子先生

夫 律子(ぷぅ りつこ)

クリフム出生前診断クリニック 院長(日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医/日本超音波医学会認定超音波専門医/日本人類遺伝学会・日本遺伝カウンセリング学会認定 臨床遺伝専門医ほか)

【監修】クリフム
出生前診断クリニック
日本初の胎児診断専門施設

分娩・不妊治療・婦人科治療は扱わず、胎児診断を専門とする施設として2006年に開院。絨毛検査13,414件・羊水検査2,098件と、専門施設として実績豊富(2009年~2019年累計)。大学病院から紹介があるほど医療関係者から信頼が厚く、全国から妊婦さんが集まります。

クリフム出生前診断クリニック クリフム出生前診断クリニック

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所在地:大阪府大阪市天王寺区上本町7-1-24松下ビル3F/問い合わせ:06-6775-8111
※開院年度・実績については同院HP参照