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「受精したあと、お腹の中の赤ちゃんはどのように成長していくの?」「妊娠中でも薬は飲めるの?」など、妊娠した時に知っておきたい基礎知識をまとめています。
卵子は精子が出会い融合した「受精卵」は、体細胞分裂を始めると「胚」と呼ばれるようになり、細胞分裂を継続しながら子宮へ移動します。そして、ふかふかに準備された子宮内膜に着床してはじめて「妊娠成立」となるのです。
その後、胚は「胎芽」となり、妊娠8週目以降「胎児」と呼ばれるようになります。
芽のように小さな「胎芽期」は、臓器や中枢神経などの大切な器官がつくられる「器官形成期」でもあります。この時期は、ママが接種したタバコやアルコール、薬などの影響を最も受けやすい時期。十分に気を付ける必要があります。
その後、妊娠4カ月頃にはふわふわの絨毛がしっかりした胎盤組織として完成していきます。胎児はへその緒を通してママから栄養をもらうようになります。超音波検査では、赤ちゃんが動く様子がわかるようになって、ママとしての実感が一層に湧いてくる頃でしょう。
胎児はママのお腹の中でこのように神秘的かつ驚異的に日々成長していきます。
妊娠中の約10カ月間、気を付けていても風邪にかかってしまう方や、もともと持病を持っている方もいるでしょう。そんな時に飲む薬やサプリメントが「胎児にとって安全なのか?」という疑問は誰しも持つものです。
すべての薬が胎児に直接影響を及ぼすわけではありませんが、薬の成分や飲む時期においては、胎児の発育を妨げてしまうこともあるため、事前に安全性を確かめておく必要があります。
とくに「胎芽期」と呼ばれる妊娠初期は、臓器や中枢神経などの重要器官がつくられる「器官形成期」で、薬などの影響を最も受けやすい時期です。
しかし、妊娠4週~10週のこの時期は、ママが妊娠していること自体に気がついていない場合も。「赤ちゃんが欲しい」と考えている、積極的に妊活をしている方は、日ごろから服用する薬に気を配っておく必要があるでしょう。妊娠後の薬の服用も含め、婦人科の先生や薬剤師にアドバイスをもらうのが適切です。
もともと疾患を抱え、日常的に薬を飲んでいる方は、妊娠が判明した時点で疾患の担当医および産婦人科の担当医に相談してください。それぞれの担当医が適切な薬の処方を考えてくれるでしょう。自分の判断で勝手に薬の量を減らしたり服用をやめたりしてはいけません。
遺伝カウンセリングとは、患者さんやその家族に最新の遺伝疾患の発症や発症のリスクなどわかりやすく説明したり、対話形式で遺伝に関する不安を抱えている人の悩みを聞きながら、患者さんにとってより望ましい選択ができるようサポートしたりすることです。
遺伝カウンセリングは、新型出生前診断の「NIPT」がきっかけで多くの人に認知されるようになりました。日本医師会から認定された医療機関でのNIPTは、この遺伝カウンセリングを検査前後に必ず受診します。
検査前に夫婦で遺伝カウンセリングを受けて検査の内容を詳しく知り、疑問点を解決してあらためて検査を受けるかどうかを決めることができます。検査後、陽性という結果が出た場合も、妊娠を継続するかどうかや妊婦さんとじっくり対話して、精神的苦悩を和らげようとしてくれます。
出生前診断には、ほぼ100%の精度で胎児の染色体異常が判明する「確定検査」と、80~99%の確率で染色体異常がわかる「スクリーニング検査」の2つがあります。
スクリーニング検査には、母体の血液から数種の染色体異常の可能性が判別される「母体血清マーカー」「NIPT(無侵襲的出生前遺伝学的検査)」と、胎児の染色体異常の可能性や形態異常(奇形など)が判明する「超音波検査」などがあります。
染色体異常の確定検査には「羊水検査」と「絨毛検査」があり、ほぼ全染色体の異常を検査することができます。
検査内容や検査で判明する事柄、検査費用は少しずつ異なります。
20代の妊婦さんで出生前診断に興味を持つ人は5割ほどいるようですが、実際に検査を受ける人は約2割強というデータがあります。そのため「20代で出生前診断を受けるのは普通」とはまだ言えません。
染色体異常を持つ胎児が産まれる確率は年齢を重ねるごとに高まっていくため、とくに確率が大きく変わる、高齢出産にあたる35歳以上の妊婦さんが出生前診断を受ける傾向にあります。20代の妊婦さんは、医師からの指摘もあまりないことが多いです。
ただ、20代の妊娠でも健康な赤ちゃんが産まれるという保証はありません。20代では30代と比較すると確率としては低めですが、実際には20代で妊娠する人の数のほうが多いため、ダウン症の赤ちゃんを産むお母さんの実数は意外に20代が多いです。お腹の赤ちゃんの染色体異常が心配な妊婦さんは、どんな検査があり、自分が何を知っておきたいのかを見極めましょう。また、奇形などの形態の異常は、妊婦さんの年齢に関係なく起こります。
出生前診断を受けるかどうかは1人で決定せず、かかりつけの産婦人科医や家族と相談してから決めることをおすすめします。
わかりやすくいうと、先天性疾患とは赤ちゃんが持って生まれてきた身体的な特徴や機能の違いのことです。3~5%の赤ちゃんは何らかの異常を抱えて生まれてくるとされており、そのうち生命にかかわったり日常生活に支障をきたしたりするような異常は1~2%の赤ちゃんに見られます。
先天性疾患は大きく多因子遺伝、染色体疾患、単一遺伝子疾患、環境/催奇形性因子の4つに分けられます。いずれにしても大切なことは、先天性疾患はその人の個性の一面にすぎないという考え方です。
先天性疾患の中でもよく取り上げられている出生前診断と大きく関係するのが、染色体疾患です。出生前診断にはさまざまな種類があり、胎児に身体的な異常がないか、染色体異常がないかを調べることが主な目的ですが、実際にはわかることとわからないことがあります。
「染色体異常がないのに出生前診断で陽性の結果が出てしまう…」これだけ聞くととても不安になってしまいますね。でもそれは実際に起こることです。その原因の1つとして考えられるのが「染色体のモザイク」です。
身体を構成する細胞の中でも、染色体の数がそれぞれ異なっている状態をモザイクといいます。たとえばダウン症であれば、21トリソミーを持つ細胞と持たない細胞が一定の割合で混在している状態を指します。
モザイクが起きる原因にはいくつかあり、細胞分裂の際に染色体がうまく分離しなかったことがその1つです。また、親が由来となる染色体異常もあります。
また、胎児には染色体異常がなくても胎盤だけにモザイクが発生する胎盤性モザイクということも起こり得ます。とくに、NIPTは胎盤からのDNAを判定するのでNIPT「陽性」と言う結果が出る場合でも胎盤性モザイクで赤ちゃんはまったく正常であることもあるので、注意しなければなりません。
「出生前診断」と「着床前診断」という言葉は似ていますが、まったく異なる検査です。「出生前診断」は妊娠中にお腹の赤ちゃんの生育状態や染色体異常などを調べる検査で、「着床前診断」は卵巣から採取した卵子を受精させ、細胞分裂をはじめた胚の細胞を取り出して検査し、染色体異常の有無を調べます。つまり、妊娠する前に行える検査という点が出生前診断とは大きく異なります。
着床前診断では、細胞に異常がないことを確認したら、受精卵を子宮へ着床させるという体外受精の技術を利用しています。
現時点で着床前診断は日本産婦人科学会が管理をしているため、診断に進める対象者が限られており、診断に踏み切るには学会の認可も必要です。
双胎妊娠にはいくつかの種類があり、それによりリスクも異なり、診てもらえる施設も変わってきます。
双胎妊娠の場合、NIPTを希望しても病院側から断られるケースがあるようです。これは血液検査自体にできない理由があるわけではなく、陽性と出た場合の取り扱い方に違いがあるからです。
一卵性双胎の場合には二人の赤ちゃんは同じ染色体を持っていますが、二卵性の場合には違う染色体を持っています。血液検査で陽性と出た場合、どちらの赤ちゃんが陽性なのかはわかりません。
さらに、双胎の絨毛検査や羊水検査のリスクが高くなるからと検査を行っていない施設もあります。
なぜ双胎妊娠の絨毛検査・羊水検査を受け入れていないのでしょうか。それは単胎妊娠よりも双胎妊娠のほうが、確定検査によるリスクが高くなることにあります。そのリスクを回避するためにそもそも出生前診断を受け入れていない、という医療機関があるのでしょう。NIPTだけを実施している検査機関では、双胎妊娠に関係なく受け入れているケースが多いようですが、その後のことをしっかり考えておかなければならないです。
一方で、詳しい超音波検査を行ったうえで絨毛検査などを行うことができる設備を整え、双胎妊娠の出生前診断を受け入れている医療機関もあります。
妊娠22週未満のお腹の赤ちゃんが、何らかの原因で亡くなってしまうことを流産といいます。すべての妊娠の10~20%は流産に至るとも言われており、この問題に直面するカップルは少なくありません。
流産の原因となる要素は、赤ちゃん側のものからママ・パパ側のものまで多岐に渡ります。しかし、流産の8割は、予防する手だてのない赤ちゃんの染色体異常によるものだといわれています。染色体異常による流産は、赤ちゃんの両親の体質や行動に関わらず起こり得るものなのです。
お腹の赤ちゃんの成長が妨げられたり止まったりしてしまい、週数相当の発育がみられない状態のことを「胎児成長不全」といいます。
成長不全の赤ちゃんは臓器の機能も未熟であることが多いため、考えられる原因を取り除くとともに慎重な管理を行う必要があります。しかし、身体的に小さな赤ちゃん全員に異常があるというわけではなく、単に赤ちゃんの個性によって体が小さいだけで、健康には問題のないケースも少なくありません。
胎児成長不全の原因には、ママの疾患や胎盤・子宮の異常、妊娠中の感染症、喫煙や飲酒といった環境因子などが挙げられます。