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胎児水腫

このページでは胎児の全身がむくんだ状態になってしまう「胎児水腫」の特徴や治療法、出生前診断で判明するのかどうかなどを解説します。

どうやって胎児水腫と診断されるの?

胎児水腫とは、お腹の中の赤ちゃんの皮膚がむくみ、心臓の周囲や胸部、腹部に水がたまり(腔水症)、胎児の全身に浮腫が認められるような状態のことをいいます。

妊娠初期に診断された場合は、一過性の胎児浮腫である可能性もあり、超音波検査で経過を注意深く観察していくことが大切です。

生まれる前の胎児水腫の検査方法

胎児水腫は超音波検査で判明されます。皮下浮腫、胎児胸水、腹水が主な所見ですが、羊水過多、胎盤肥厚(胎盤と凝結した血液とが一塊になっている)、心囊液(心臓を取り囲む袋と心臓の間に貯まっている液体)が認められることもあります。これらのうち、2つ以上の所見で診断されます。

胎児水腫と診断されたら「免疫性」なのか、「非免疫性」なのかを確かめるために母体の血液検査を実施。Rhマイナス型であれば、免疫性の胎児水腫の疑いが高いです。染色体の異常による疑いがある場合は、絨毛検査や羊水検査で胎児染色体検査を行います。

胎児水腫の原因は多岐にわたるため、りんご病などの患者との接触歴を調べたり、家族の遺伝性疾患などを調査することもあります。

生まれる前の検査や
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胎児水腫の発症理由

胎児水腫の原因は血液型不適合の「免疫性」によるものと、それ以外が原因である「非免疫性」に分類されます。

非免疫性の胎児水腫

胎児水腫の約9割が「非免疫性」に属しています。原因で明らかにされているものは次の通りですが、なかには原因が特定できないケースも存在します。

免疫性の胎児水腫

免疫性の胎児水腫としては、母体と胎児の血液型が一致しない血液型不適合妊娠が代表的です。これは、お母さんが「Rhマイナス」の時に起こるケースです。

お母さんがRh型マイナスの場合、体内にはRh型プラスの赤血球を攻撃する抗体が存在します。そしてもしお腹の赤ちゃんがRhプラス型であれば、母体の「Rh抗体」がRhプラス因子を持つ赤血球を破壊しようと試みます。そうなると胎児は赤血球が壊されて重度の貧血状態に陥り、心臓に負担がかかり胎児水腫を発症してしまうのです。

胎児水腫とは

胎児水腫は、お腹の中の赤ちゃんの皮膚の下、胸部や腹部、臓器などあらゆるところに水が貯まることを言います。一部分に水が貯まる状態の場合は、胎児腹水とか胸部腹水などと呼ばれます。胎児水腫の状態が重い場合は、死産に陥ることもあります。

胎児水腫の症状

胸腔や腹腔、皮膚の下のむくみ、肝臓や脾臓といった臓器など全身がむくみ、心不全や重度の貧血を起こします。胸水によるものは循環器系を圧迫したり、肺の発育不全などが生じます。出産時に胸水が多くあると、呼吸障害を起こす恐れがあります。

胎児水腫の治療方法

胎児水腫は原因や症状が多岐にわたり、その多くは治療法が確立されていません。しかし早期に検査をして、症状が下記のようなケースの場合で、なおかつ母体の状態が良好であれば治療を行うことも可能です。

胎児が貧血の場合

例えばRh型不適合の胎児水腫の場合、事前に羊水や胎児の血液を採取して、貧血の程度を確認してから胎児に輸血を行います。母体の腹部に局所麻酔をして、臍帯静脈などに輸血する方法です。特殊な施設でしかできません。

不整脈による胎児水腫の場合

胎児が不整脈になって胎児水腫になっている場合は、母体に抗不整脈薬を投与する治療が採られることがあります。もし赤ちゃんの脈が早くなる「頻脈性」の不整脈であれば、母体薬物療法で約8割が改善すると言われています。

反対に脈が遅くなっている「徐脈性」の場合は、薬物療法の改善は困難かもしれません。

胸腔内に水が貯まっている場合

超音波検査で主に胸水による胎児水腫と診断された場合、一時的に胸水を抜く処置を行なったり、「胎児胸腔・羊水腔シャント留置術」という治療法が採られます、胎児の胸腔と羊水腔にシャントチューブという管を留置して、胸部に貯まった水を羊水へ流す処置です。

胎児水腫を予防する方法は?

胎児水腫はさまざまな要因が考えられるため、完全に予防する方法はありません。しかし、母親がRh型マイナスで父親がRh型プラスの場合には、妊娠初期から抗体検査を繰り返し、赤ちゃんの状況確認を頻回に行うことが勧められます。また、一卵性の多胎妊娠などでも胎児水腫の可能性が高くなります。

妊娠中にりんご病などに感染しないよう接触を避け、手洗いやうがいなどの衛生面に気を付けましょう。

Dr.ぷぅからの一言
夫律子先生

妊娠初期に胎児水腫の状況であった場合には染色体異常や遺伝子変異などであることが多いです。絨毛検査を行って調べておくことが勧められます。また自然に軽快して元気に生まれる赤ちゃんもいるので、赤ちゃんの力を信じて見守ってあげることも親としてできることです。

夫律子先生

夫 律子(ぷぅ りつこ)

クリフム出生前診断クリニック 院長(日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医/日本超音波医学会認定超音波専門医/日本人類遺伝学会・日本遺伝カウンセリング学会認定 臨床遺伝専門医ほか)

【監修】クリフム
出生前診断クリニック
日本初の胎児診断専門施設

分娩・不妊治療・婦人科治療は扱わず、胎児診断を専門とする施設として2006年に開院。絨毛検査13,414件・羊水検査2,098件と、専門施設として実績豊富(2009年~2019年累計)。大学病院から紹介があるほど医療関係者から信頼が厚く、全国から妊婦さんが集まります。

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