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羊水に含まれる胎児の細胞を採取し、調べるのが羊水検査。胎児の染色体異常の有無がわかる確定検査ですが、どんな症状も発見できるとは限りません。羊水検査でわかることとわからないことを、クリフム出生前診断クリニック監修のもと解説しています。
羊水検査では主に次のような胎児の病気と、染色体疾患の全般を調べることができます。
ダウン症とは「21トリソミー」とも呼ばれており、通常2本あるはずの21番染色体が3本できてしまう染色体数の異常です。さまざまな合併症を起こすリスクがあり、正常な染色体を持つ人よりも平均寿命は短いと言われています。
ダウン症の子供は見た目に特徴があり、ほとんどの場合、やや目が離れており、吊り上がっています。
筋力や言葉の発達の遅れがちで、障害の1つとして知的障害も見られます。ただし、ダウン症の知的発達は人によってかなり差があり、大人になってから大学に行ったり車を運転したり、一般の人と同様の生活を送っている方もいます。
18トリソミーは18番染色体数に異常が起こる症状で、「エドワーズ症候群」ともよばれています。
胎児のときから成長に障害が見られ、多くの場合、さまざまな合併症があることが多く、自分の力で歩けなかったり言葉を使って話すのが難しいことがあります。また、見た目にも、顎が小さく、手の指が拘縮しているなどの特徴があり、寿命の短い例が非常に多いです。
13トリソミーには「パトー症候群」という別名もあります。13番染色体数に異常が見られ、先天性の心臓疾患や脳の異常など、重度の合併症が複数見られます。発達はとてもゆっくりとしていて、お腹の中で生きられなくなる赤ちゃんもとても多く、生まれてきても非常に短命で生後1年生きられる子供は10%いないと言われています。
通常一般の羊水検査では、染色体の数の異常や大きな構造の異常はわかりますが、微細な構造異常はわかりません。また、遺伝子の検査をするわけではないので、遺伝子変異による病気もわかりません。
実は自閉症や発達障害の原因は、未だはっきりと特定されていません。しかし、こうした疾患は先天的な脳機能障害で起こることがわかっています。染色体異常のために発症するわけではないので、たとえ羊水検査をしたとしても自閉症や発達障害かどうかを調べることはできません。
染色体を検査する羊水検査では男女どちらか判別できますが、基本的には羊水検査で性別は教えないということになっています。
心疾患や口唇口蓋裂、脳の病気や背中の病気などは、染色体以外の原因が関わっていることもあり、羊水検査でははっきりとは特定できません。ただし、近年は羊水検査とは別の胎児ドックなどでのエコー検査で、お腹にいる段階で発見されることが多くなってきました。
出生前診断の1種である羊水検査は、お母さんの羊水の中に含まれている胎児の細胞を採取し、そこから染色体異常の有無を調べる検査です。
胎児の細胞から染色体を調べるので確定検査となりますが、羊水検査にはわずかながら流産のリスクが潜んでいます。また、検査後に出血や破水、羊水検査で採取した細胞から染色体を調べられないケースなどもあるので、こうしたリスクをよく理解した上で検査を受けましょう。
分娩・不妊治療・婦人科治療は扱わず、胎児診断を専門とする施設として2006年に開院。絨毛検査13,414件・羊水検査2,098件と、専門施設として実績豊富(2009年~2019年累計)。大学病院から紹介があるほど医療関係者から信頼が厚く、全国から妊婦さんが集まります。
所在地:大阪府大阪市天王寺区上本町7-1-24松下ビル3F/問い合わせ:06-6775-8111
※開院年度・実績については同院HP参照
羊水検査で微細な構造異常や遺伝子検査を行うことは、専門的な遺伝カウンセリングを行なっている施設に限定されます。
また、羊水検査ではわからない先天性の心疾患や口唇口蓋裂、脳の病気などは、妊婦健診よりも精密に赤ちゃんの状態をチェックできる胎児ドックで判別することができます。超音波エコーを使うので流産のリスクもなく、赤ちゃんにも優しい検査方法です。お腹にいるうちから赤ちゃんのようすを把握していれば、出産後に適切な治療を素早くできるようになります。
夫 律子(ぷぅ りつこ)
クリフム出生前診断クリニック 院長(日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医/日本超音波医学会認定超音波専門医/日本人類遺伝学会・日本遺伝カウンセリング学会認定 臨床遺伝専門医ほか)
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