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ダウン症以外

出生前診断ではダウン症以外のリスクについても確認することができます。より確実な情報をお届けするために、ここではクリフム出生前診断クリニックに監修をお願いしています。

出生前診断はダウン症以外の先天性異常も見つかる

出生前診断で発見できる病気は、何もダウン症ばかりとは限りません。ダウン症以外の染色体異常としては18トリソミー、13トリソミー、その他さまざまな染色体異常、微細な染色体異常などがあります。また染色体をしらべて正常でも、赤ちゃんには多くの先天的な病気が見つかることがあります。

ドクターから一言
夫律子先生

出生前診断はダウン症を診断するもの…というイメージが世間では強いようですね。でもそれは違います。まず、「異常がなく元気です」ということがわかって安心することが出生前診断の大切な使命だと思います。ダウン症がよく取り上げられますが、たくさんある先天性異常のうちのひとつです。

もちろん、妊婦健診のエコー検査だけで先天性異常を判断するのは難しいのが現状です。赤ちゃん一人ひとりを「病気がなく、元気に育ってるかな」と生まれる前から診察してあげられるのが、出生前診断なのです。健康に生まれて育ってほしいと思う親の気持ちは、ごく当たり前ですよね。

夫律子先生

夫 律子(ぷぅ りつこ)

クリフム出生前診断クリニック 院長(日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医/日本超音波医学会認定超音波専門医/日本人類遺伝学会・日本遺伝カウンセリング学会認定 臨床遺伝専門医ほか)

出生前診断でわかるダウン症以外の主な先天性疾患

ダウン症以外の染色体異常

染色体は、1番染色体から22番染色体まで番号のついた染色体があり、それぞれの染色体はママとパパから1本ずつ赤ちゃんに伝わり2本ずつとなります。番号がつかない染色体は2本あり、X染色体が2本なら女の子、X染色体とY染色体が1本ずつあれば男の子です。

ダウン症は21番染色体が3本あることで起こりますが、21番だけでなく、その他の染色体の数が多いこともあります。18番染色体が3本あると18トリソミー、13番染色体が3本あると13トリソミーと呼ばれ、21番トリソミー(ダウン症)が一番軽症です。また染色体の一部だけが3個あったり1個だけだったりする異常もあり、どこの部分に異常があるかによって症状はさまざまで成長障がいや発達の遅れがみられることも多いです。

母体血清マーカー検査やNIPT、胎児ドックで、ダウン症や18トリソミー・13トリソミーの可能性がわかります。ただしこの3つの病気は、胎児に見られる先天性異常の内、ほんの2割程度です。絨毛検査や羊水検査は染色体の数だけでなく、染色体の一部が欠けていたり多かったりするような希少染色体異常もわかります。もっと細かい変化がたくさん見つかっていて、海外では微細な染色体異常や遺伝子の変化を調べる検査もあるようです。

染色体はすべての細胞の中にあるもので、生まれてからでも異常な染色体を治療することはできません。また生まれてから染色体の病気がなくなることもありません。

ドクターから一言
夫律子先生

生まれてくる赤ちゃんはだれもが染色体の病気を持つ可能性があます。トリソミーなどはママが高齢になればなるほど可能性が高くなりますが、ママの年齢に関係なくおこる染色体の病気もあります。染色体の病気そのものを治療することができないので、染色体の病気で生まれた赤ちゃんはずっとその染色体の形をもって生きていきます。

胎児ドック・血清マーカー検査・NIPTなどで染色体の病気の確率が高いと出ても慌てず、しっかり専門の先生に診てもらってくださいね。

夫律子先生

心臓の病気

心臓には右心房、左心房、右心室、左心室という4つの部屋があり、大きな血管が右心室、左心室から出ています。右心室からは肺に向かって肺動脈が、左心室からは大動脈が出ています。「心臓の病気」は多くの種類があり、生まれてから自然に治るものから、手術を何回かしなければならないものまで様々です。

一番多いのは「心室中隔欠損」ですが、これは左右の心室の間にある壁に穴があいている病気です。心臓病の50-60%くらいを占めます。穴の大きさや形は様々で、一番多いです割には出生前診断は難しいと言われています。「心室中隔欠損」があっても無症状の場合もあり、生まれてから穴が自然に閉じることもありますが大きな穴があり、症状が出る時には手術が必要です。「心室中隔欠損」が疑われる場合には他の心臓の病気が一緒にあることもあります。

その他にも多くの先天性心疾患といわれる病気がありますが、羊水の中で生活している胎児は心臓病があっても、呼吸をしているわけではなく、ママの胎盤からもらう酸素が体にしっかりと循環するので症状が出ることはあまりありません。生まれてからは肺で呼吸をして酸素を全身に送らなければならないので、心臓病があるとうまく酸素が循環できないことから症状がいろいろと出てくることになります。

心臓は血液を循環させるためのポンプの役割をしています。小児心臓外科が非常に発展していて、うまく循環するように手術をすれば、普通に大きくなり特に問題なく生活ができることも多いです。心臓病があると生まれてから急に症状が現れて赤ちゃんが苦しくなることがあります。早めにわかっていると小児心臓の専門医がいる病院で産むことを計画したりすることで赤ちゃんが苦しい思いをしなくていいようにしてあげられます。

口唇や口蓋の病気

「口唇口蓋裂」は、先天的に上唇や上顎(歯茎)、口蓋と呼ばれる口の中の上のドームがくっつかずに開いたままになって、さけたように見える病気で、それぞれ口唇裂・顎裂・口蓋裂と呼ばれます。口唇裂だけの場合、口唇裂と顎裂の場合、口唇裂・顎裂・口蓋裂の場合、また口蓋裂のみの場合もあります。口蓋裂だけの場合には出生前診断で見つかることは少ないです。

いずれの場合にも生まれてから手術をすることできちんと治療することが可能です。口蓋裂があると、生まれてから飲み込みや発音に問題が出ることがありますが、これもきちんと対処して治療することが可能です。口唇口蓋裂はそれ自体は障がいとは言えませんが、染色体の病気や他の病気に合併することもあるので、出生前診断で染色体やその他の病気がないかをきちんと調べておく必要があります。

脳の病気、水頭症

「脳の病気」は、いろいろとあります。よく「水頭症」ということばを聞きます。脳の中には、脳からでる水を貯めておく脳室というところがあり、その水は脳室から水路を通って出ていき、脳表面から吸収されます。脳室は妊娠初期には頭の中のほとんどの部分を占めていますが、胎児が発育するとともに脳も発育して頭の中での脳室の割合は小さくなっていきます。

「水頭症」とは、脳室に水がたくさんたまっている状態を言います。「水頭症」は、単に水路が詰まって水が流れなくなって起こる場合と、脳の発達が遅れたりすることで脳室が大きいままの状態である場合があります。「脳室拡大」「水頭症」は病気の名前ではなく、大切なのはその原因となることです。単純に水が流れないだけであれば、生まれてから水路をつくってあげる手術をすれば、正常に発達して元気に大きくなります。脳室が拡大する原因が大脳発達に関係する場合には、その原因となる脳の病気により様々な発達障がいがでる可能性がありますが、その症状には個人差もあります。

また、脳室が一時的に大きくてもその後自然に正常となり何の問題もないこともあります。脳は胎児の間にどんどんと形がかわっていくので、脳室をきちんと評価して、脳室拡大や水頭症の原因を診断するためには専門家による出生前診断が必要です。

背中の病気、二分脊椎

背骨(脊椎)の中にはとても大切な神経である脊髄神経が入っています。「二分脊椎」はこの背骨の一部がうまく閉じないために髄膜や脊髄神経が外にでてしまう病気です。

髄液のふくろ(髄膜)だけが外にでていて脊髄神経が出ていない「髄膜瘤」と呼ばれる状態であれば症状は何もでないことも多く、脊髄神経が外に出ている「脊髄髄膜瘤」とよばれる状態であれば歩行や排尿などに関係する障がいが出る可能性が高くなりますが、二分脊椎の場所や程度にもより症状は軽度であることもあります。

二分脊椎がある場合には脳室拡大や水頭症が起こることも多いですが、脳自体に問題があるわけではなく単純に水路の流れが悪くなるためで、手術をすることで改善できます。二分脊椎がある場合には、生まれてすぐの手術が必要なので、小児脳神経外科がある病院で分娩することが望ましく、出生前診断で分かって入れば生まれてからの処置もスムースになります。

ドクターから一言
夫律子先生

生まれてくる赤ちゃんに先天性の病気がある可能性はみなさんが思っているより高く、20-30人にひとりはいます。赤ちゃんの病気は妊婦健診で気づかれることもありますが、まったく気づかれずに順調と言われている方もたくさんいます。 胎児ドックなど、詳しい超音波検査をしている施設で、しっかり専門の先生に診てもらってくださいね。

夫律子先生

さまざまな病気をチェックできる胎児ドックとは

【監修】クリフム
出生前診断クリニック
日本初の胎児診断専門施設

分娩・不妊治療・婦人科治療は扱わず、胎児診断を専門とする施設として2006年に開院。絨毛検査13,414件・羊水検査2,098件と、専門施設として実績豊富(2009年~2019年累計)。大学病院から紹介があるほど医療関係者から信頼が厚く、全国から妊婦さんが集まります。

クリフム出生前診断クリニック クリフム出生前診断クリニック

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※開院年度・実績については同院HP参照