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臍帯ヘルニア・腹壁破裂

このページでは、出生前診断でわかる先天的な臍帯ヘルニアと腹壁破裂の特徴や原因、治療法などを解説します。

どうやって臍帯ヘルニア・腹壁破裂と診断されるの?

臍帯ヘルニアや腹壁破裂は、どのように診断されるのでしょうか。

臍帯ヘルニアの診断

妊娠10週前後の胎児では臍帯ヘルニアは正常にみられる所見です。これを生理的な臍帯ヘルニアといいます。妊娠12週になってもお腹の外に臓器が出ている場合には病的な臍帯ヘルニアとなり、お腹の外に内臓の一部がはみ出した状態になっているので、妊娠12週以降の胎児超音波検査で判明することが多いです。

へその緒(臍帯)が出ているところに、胃や腸、肝臓などの腹腔内の臓器が出ているのが臍帯ヘルニアです。臍帯ヘルニアがある場合には、18トリソミーや、その他の染色体異常の可能性が高いため、絨毛検査や羊水検査で染色体を確認しておくことが勧められます。

腹壁破裂の診断

へその側に生まれつき穴が開いてしまっていて、本来お腹の中にあるべき胃や腸、肝臓などの一部がお腹の外側に出ている状態が腹壁破裂です。超音波検査で診断されることが多く、事前に体制が整っている医療機関と連携がとれていれば、出産後すぐに赤ちゃんの腹壁破裂の治療を行うことができるようになっています。臍帯ヘルニアと違って、腹壁破裂の場合には染色体異常との関連は低いと言われています。

生まれる前の臍帯ヘルニア・腹壁破裂の検査方法

臍帯ヘルニア・腹壁破裂は、出生前の超音波検査で判明することがほとんどです。妊娠12週以降に確認できるので、臍帯ヘルニアや腹壁破裂と診断されたら、新生児外科治療のできる専門医療機関で出産できるよう医師と相談しましょう。

臍帯ヘルニアは、染色体異常や奇形をともなう赤ちゃんもいます。妊娠過程を注意深く観察して、出産に備えることが大切です。

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臍帯ヘルニア・腹壁破裂の発症理由

臍帯ヘルニアの発症理由

胎生3~4週頃に何らかの理由により、腹壁形成障害が起こったものではないかという説と、胎生8週頃の腸管腹腔内還納不全という説があります。胎児の成長過程において、腸は一度お腹の外に飛び出し、成長して身体の中に戻ってきます。最終的に腸が体内に戻れなかった状態を「腸管腹腔内還納不全」と言います。

「腹壁形成障害」にしても「腸管腹腔内還納不全」にしても、なぜそれが発症したかという具体的理由ははっきりしていません。

腹壁破裂の発症理由

胎生3~4週頃に何らかの理由により生じる腹壁の形成不全と言われています。なぜそれが発症するかははっきりと判明していませんが、遺伝子異常によるものではないようです。比較的、低出生体重児に発生することが多いのが特徴です。

臍帯ヘルニア・腹壁破裂とは

臍帯ヘルニアとは

臍帯ヘルニアは、腹部臓器の一部がへその緒(臍帯)内に突出するという先天的な異常のことです。約4,000人に1人の割合で出生すると言われています。13トリソミーや18トリソミーなどの染色体の異常や奇形をともなうケースもあります。

臍帯ヘルニアは、症状や合併症のレベルにより治療や治療後の結果が異なります。そのため出生前に臍帯ヘルニアと診断された場合は、周産期医療センターや小児外科のある専門医療機関へ転院して、緻密な治療計画で母体と赤ちゃんの治療体制を整えましょう。

腹壁破裂とは

赤ちゃんのへその緒の右側の腹壁に穴が開いているため、お腹の中にあるはずの臓器の一部が外に脱出している状態が腹壁破裂です。6,000~10,000人に1人の割合で生まれてくると言われています。

出生前の診断で判明することがほとんどなので、周産期医療や小児外科などのある専門医療機関へ転院して、経過や出産後の手術などの準備を整えておきましょう。

臍帯ヘルニア・腹壁破裂の症状

臍帯ヘルニアの症状

臍帯ヘルニアの症状は個人差があります。お腹の外に出た臓器は通常、膜で包まれています。また心奇形などの合併奇形や、染色体異常をともなう場合もあります。

腹壁破裂の症状

腹壁破裂は、お腹から腸などが出ている点では臍帯ヘルニアと似ていますが、薄い膜で覆われてはいません。そのため出生までは腸が羊水にさらされて炎症を起こしたり、その炎症によって消化器系の運動障害や腸閉塞などの合併症が起こったりする可能性があります。

臍帯ヘルニア・腹壁破裂の治療方法

臍帯ヘルニアの治療方法

基本的に生後すぐに外科手術でお腹の外に出ている臓器を中に戻し、お腹を閉じる治療を行います。ヘルニアが大きい場合には、ヘルニア全体を人工膜で覆って外に吊るし、赤ちゃんに無理のないように徐々に脱出臓器を腹腔内に戻します。

穴の大きさによって1回の手術で終わる場合もあれば、数回に分けて手術を行う場合もあります。心臓やほかの臓器に奇形がある赤ちゃんは、さらに慎重に手術方針を検討します。

腹壁破裂の治療方法

お腹の外に脱出した臓器を腹腔内に戻す手術を行います。1回の手術で臓器をすべてお腹の中に戻してお腹を閉じる方法と、仮の腹壁を形成した後に脱出した臓器を段階的に腹腔内に戻す方法があります。胎児期に腸が外に出たまま成長しているので、お腹の成長が乏しいことがあります。脱出している臓器の量や赤ちゃんの腹腔内状態などを見ながら治療を進めます。

Dr.ぷぅからの一言
夫律子先生

お腹の臓器が外に出ているので、見た目は派手に見えますが、生まれた赤ちゃんはきちんと呼吸ができることが多く、赤ちゃんの全身状態を見ながら外科的治療を行っていきます。
診断されたら、焦らず、胎児ドックで診断し、絨毛検査や羊水検査で染色体異常がないかなどを検査し、しっかり赤ちゃんの手術をしてくれる病院での出産を考えていきましょう。

夫律子先生

夫 律子(ぷぅ りつこ)

クリフム出生前診断クリニック 院長(日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医/日本超音波医学会認定超音波専門医/日本人類遺伝学会・日本遺伝カウンセリング学会認定 臨床遺伝専門医ほか)

【監修】クリフム
出生前診断クリニック
日本初の胎児診断専門施設

分娩・不妊治療・婦人科治療は扱わず、胎児診断を専門とする施設として2006年に開院。絨毛検査13,414件・羊水検査2,098件と、専門施設として実績豊富(2009年~2019年累計)。大学病院から紹介があるほど医療関係者から信頼が厚く、全国から妊婦さんが集まります。

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