更新日:|登録日:
更新日:|登録日:
出生前診断はどのくらいの人が受けているのでしょうか。国内での出生前診断の実施件数や、NIPT、羊水検査、母体血清マーカー検査、絨毛検査それぞれについて増加の推移をまとめました。高齢出産の4分の1ほどが何かしらの出生前診断を受けているという結果になっています。
国内での実施件数はどんどん増えてきている出生前診断。2006年では3万件ほどだったのに対し、2016年には7万件ほどの人が受けていて、10年間で2.4倍に急増しました。35歳以上の高齢出産と言われる人に限ると、4分の1ほどが受けている計算になります。
ダウン症児の出生率は母体が20歳で1667分の1、30歳で952分の1、40歳で106分の1、45歳では30分の1と言われています。出生前診断を受ける人は20代でもいますが、ダウン症児出生率の上がる30代、40代の方がより多くなっています。
(参照元:毎日新聞|出生前診断、10年で2.4倍 35歳以上で25% 16年7万件)
出生前診断を大きく分けると、スクリーニング検査(超音波検査・母体血清マーカー・NIPTなど)と診断検査(絨毛検査・羊水検査)の2種類があります。
中でもよく話題になるNIPT(新型出生前診断)は、妊婦の採血のみで行える出生前診断のことです。母体への負担が少なく、21トリソミー・18トリソミー・13トリソミーの検出精度が高い診断方法ということもあり、2013年の開始以来、多くの妊婦さんが受診しています。
なお日本産婦人科学会では、NIPTを受ける要件として「35歳以上の高齢出産であること」などを掲げていますが、この要件が厳格に守られていると仮定するならば、国内でNIPTを受けた35歳以上の妊婦の数は、診断開始から5年間で約58,000人、つまり、年間1万人余りとなります。しかし、年間の35歳以上の妊婦は実際には24万人くらいいらっしゃるので、無認可施設でNIPTを受検している妊婦の数は報告されていませんが、かなり多いことは推測されるのです。
NIPTでわかることは、通常2本の染色体に対して、1本余分に存在している異常の有無。具体的には、21トリソミー(ダウン症)、13トリソミー、18トリソミーの有無の「可能性」を診断する検査です。
NIPTを受けられる時期は、妊娠10週~15週の間。受検者が多い背景には、このように比較的早い段階から受検できることもあるようです。
高齢出産だったため、出生前診断を受けたご夫婦。検査の結果、母体に出産リスクがあることが判明。早産の恐れもあることから即日入院。検査前から治療までの経緯を語ってもらいました。.....続きを読む
第一子に重度の障害があることが産後に判明したご夫婦。第二子を妊娠したとき、大学病院からの紹介で知ったクリニックで出生前診断を受けることにしました。結果を聞くまでのご夫婦の心理状態、また診断を受けた後の家族の状況について、ご夫婦から語ってもらいました。.....続きを読む
41歳という高齢妊娠だったこともあり、念のため出生前診断を受けたというご夫婦。もし染色体に異常があれば出産は諦めようと語るご主人に対し、奥様は明確な返事ができなかったそうです。検査の結果は「陽性」。結果を知ったご夫婦の、その後を追います。.....続きを読む
妊娠初期の段階で、胎児の首に浮腫みがみつかりました。その後、何度かの検査を経て、希少染色体異常との診断。長い不妊治療を経ての妊娠だったこともあり、当初は「なぜうちの子が…」と落ち込む日々。エコーを通じて子供の心臓が動いていることを確認したご夫婦の決断をまとめました。.....続きを読む
地域の産婦人科の問診票に「赤ちゃんに病気がある場合、全て教えてほしい」という項目にチェックマークを入れていたご夫婦。エコー検査を通じ、赤ちゃんの首の後ろに浮腫があることを伝えられました。紹介された専門クリニックを受診したところ、ダウン症とは異なる染色体異常が判明。ご夫婦の葛藤を語ってもらいました。.....続きを読む
NIPTの結果は98%の確率でダウン症。心のどこかで「そんなはずはない」との確信を持って専門クリニックでエコー検査を受けたところ、「陰性」と診断されました。NIPTだけではなく、エコーも交えて正確に診断できる検査を受けることが大切、とご夫婦は語ります。.....続きを読む
安心して出産したい、という軽い気持ちで受けたNIPT。結果、ターナー症候群が陽性の可能性が高いと診断され、パニックの中、改めてご夫婦は専門クリニックを受診したそうです。エコー検査も交えた結果は陰性。一連の経験を経て「病院選びの大切さを学んだ」とご夫婦は語っています。.....続きを読む
出生前診断の歴史は1960年代の羊水検査から始まり、その後1990年代には妊婦の血液から異常のある確率が推計できるようになました。そして2013年にはNIPTが登場しました。
NIPTは登場した2013年には5千件ほどでしたが2016年には1万3千件ほどになり、3年の間に2倍以上増えました。
羊水検査は1998年には1万件ほどだったのが2013年には2万件近くになり、NIPTが増加してきた2016年には少し減って1万8千件ほどの件数になっています。
母体血清マーカー検査については1998年は2万件を超えていましたが、2001年頃一度1万5千件まで減り、その後右肩上がりで増えて2016年では3万5千件ほどまでになりました。
絨毛検査は2019年頃に登場し、当初は0に近かったですが少しずつ増え始めて2016年では2千件ほどになっています。
(参照元:朝日新聞|命の選別か、女性の生殖の権利か 出生前診断のあり方は)
出生前診断をする人は近年増えていて、高齢出産の4分の1が受けているという結果になりました。母体血清マーカー検査は血液検査なので、費用も安くて受けている人が多いようです。
NIPTは、登場からあっという間に実施件数を増やしていますね。絨毛検査は実施可能な施設が限られている関係もあり、件数は少なめです。
出生前診断を受けるか受けないか非常に悩ましい問題ではありますが、出生前診断は赤ちゃんと真剣に向き合っている証拠でもあります。実際に出生前診断を受けた人のインタビューを見てみましょう。
先日、出生前診断を受けた。
— ぷぅ@1y10m👦&13w🥚 (@04lPexU3JIvhBQs) September 15, 2021
結果、陰性で良かった✨
そして。。またもや男の子みたい👀
フリフリの服よ、さようなら😂
病院からこれから出生前診断の調査しますって手紙が来た。特別頭良くとかじゃなくていい。欲張らないから健康であって欲しい。ただそれだけ。
— みりん🦆初マタ14w (@mirinbabu) September 28, 2021
先日受けた出生前診断の結果がでた。
— さぶちゃん@初マタ23w🎀 (@11w27855831) July 14, 2021
結果は13.18.21番染色体異常なしでした。
ひとまず安心した🥲🥲🥲
出生前診断、先生に相談したり色々考えたけどやらないことにしました!きっと元気で産まれてきてくれるし、受けたところで全て分かるわけじゃないし。もし悪い結果で赤ちゃん諦めるってなって次妊活する気力も絶対ないわ。今のところ順調だし、何があってもこの子を頑張って育てるぞ!
— ゆかちん (@pupumaru3) September 25, 2021
障害があったら、ちゃんと育てられるだろうか?とドキドキしながらも、それはその人生として受け止めていくと、当時で始めた出生前診断はスルーしました。
— amelie (@amelie222april) September 29, 2021
私たち夫婦は、障がいのある人と関わってきている。その影響もあって、出生前診断を話し合って受けなかった。怖くないかと言ったら嘘になる。でも、生まれるまで分からない、生まれてきてから診断がおりる障がいもある。出生前診断が陽性でもずっと待ち続けた赤ちゃんを、諦めることはどの道できない→
— エメラルド@18w (@CandycAndyR18) September 24, 2021
まだ心拍も確認できてないけど出生前診断とかどうしようって考えてる。
— 天水 彩羽@ゆっくりお絵かき (@cyacotun114106) September 27, 2021
息子のときはマーカーテストっていう一番安いやつ(3万くらい)受けたんだけど、この妊娠でダウン症の確率はそれほど高くありませんみたいな感じでめちゃくちゃふわっとしてたので受けなくてもいいかな……
出生前診断(超音波検査)をどうするかで迷ってる。旦那は反対?前回の件もあり、心配性の私はしたほうがいいのかでずっと話してる。先生はどちらでもいいよとは言われたけど、考えが決まらない。
— ayya (@ayya88454352) April 11, 2021
出生前診断のカウンセリング受けてきた。正直、もし子に先天性疾患があるなら早く知っておくに越したことはない、くらいの感覚で一番検出率が高いNIPTを受けるつもりでいたんだけど、カウンセリングが大変勉強になって少し考えが変わった。
— はるか@12w (@hrkhkrk) September 29, 2021
新型出生前診断(NIPT)は、自由で誰もが受けられるというものではありません。
日本産婦人科遺伝診療学会では、NIPTの受診対象となる妊婦として、いくつかの要件を挙げていますが、それらの一つに「高年齢の妊婦」という要件があります。ここにいう「高年齢」とは、一般に35歳以上のこと。そのため34歳以下の妊婦で、かつ年齢以外の要件を一つも満たしていない方は、基本的にNIPTは受けられません。
年齢制限がない無認可施設での受験者が多いのはこのせいかもしれませんが、やはり採血前にきちんと赤ちゃんを確認することと、遺伝カウンセリングを受けられることが勧められます。
国立成育医療研究センターと、ある大学病院の周産期医療センターの出生前診断受検率から、出生前診断を希望する妊婦さんは年間17万人いるであろうことがわかりました。
これは年間約90万人の妊婦さんのうち、34歳以下の妊婦さん(63万人)の15%、35歳以上の妊婦さん(27万人)の30%が希望するとして計算されています。しかしこれは最低ラインの見積もりで、実際にはもっと多くの妊婦さんが診断を希望しているだろうと考えられています。
参考として昭和大学病院の例を挙げてみましょう。昭和大学の総合周産期医療センターでは、2018年に妊娠初期の出生前診断を受検した妊婦さんは全体の36.4%いました。
この割合をそのまま全国数に換算すると、約32万人ということになります。もちろん昭和医科大は総合周産期医療センターのため、国内動向をそのまま反映したものではありません。しかし、これだけ多くの妊婦さんが出生前診断を希望しているのは事実です。
ちなみに昭和大学病院で出生前診断を受検した方のうち、NIPTを受けたのは164名(出生前診断受検者の40.7%)、母体血清マーカー検査+超音波検査のコンバインドテストを受けたのが166名(40.2%)、羊水検査は32名(8.1%)となっています。
NIPTとコンバインドテストの受検者がほとんど同人数なのは、昭和大学病院が認可病院のためNIPT受検対象者に条件(35歳以上の妊婦対象など)があること、そしてコンバインドテストの検査費用は約3万円と他の検査と比べて安いために、NIPTを受けたくてもコンバインドテストのほうに流れているとされています。
2019年に日本産科婦人科学会は、スマートフォンアプリを通して妊婦さんにNIPT検査についてのアンケートを実施しました。その結果、8割以上の方がNIPTの検査対象範囲を広げてほしいという希望があることがわかりました。
医師会で認可されている医療機関では、分娩予定日に35歳以上であること、過去に染色体異常を持つ胎児を妊娠した経験がある、などの検査対象条件があります。もともとこの対象条件にはNIPT検査の精度・感度の臨床データを集める目的があり、現在その評価は十分にされていると考えられています。
NIPTは今後年齢制限などの条件が緩和される可能性もあり、検査希望者はもっと増えるかもしれません。ただその場合でも、出生前診断の意義や内容の吟味を十分に考慮し、遺伝カウンセリングを行っている医療機関で受検するのが望ましいでしょう。
(参考元:m3.com|出生前診断を希望する妊婦は年間17万人【大胆予測!令和の医療◆産婦人科編】)