出生前診断のこころえ それは真剣に赤ちゃんを想う夫婦の証 » 妊娠時に知っておきたい基礎知識 » 着床前診断とは?出生前診断との違い

着床前診断とは?出生前診断との違い

「着床前診断(着床前検査)」と「出生前診断」は似た雰囲気の言葉ですが、この2つの診断内容はまったく異なります。こちらのページでは、着床前診断とは何か?出生前診断との違いなどについて紹介していきます。

出生前診断と着床前診断の違い

「出生前診断」と「着床前診断」について簡潔に述べると、「出生前診断」は妊娠中にお腹の赤ちゃんに病気がないかを診断することで、「着床前診断」は、体外受精の場合に妊娠前(卵を子宮に戻す前)に受精卵(胚)の細胞から染色体などを検査することです。つまり着床前診断は、妊娠が成立する前に検査するという点が出生前診断とは大きく異なります。

妊娠の成立とは、受精卵(胚)が子宮膜に根を下ろして「着床」することです。通常、卵管で受精した卵子は細胞分裂をしながら子宮へ向かいます。そして7~10日間かけて子宮膜に根を下ろして着床し、妊娠成立となります。

しかし着床前診断の場合は、卵子を取り出して「体外受精」させた受精胚の細胞を検査したうえで子宮に戻し、着床させるのです。

出生前診断とは

出生前診断は、お腹の中にいる赤ちゃんの生育状態や異常がないかを調べるものです。定期的に実施される妊婦健診の超音波検査や胎児心拍数のモニタリングなども出生前診断の中に含まれています。

だた、一般的に「出生前診断」と呼ばれているのは染色体異常や先天的な疾患の有無などを調べる検査です。出生前診断には下記のような検査があります。

確定検査

染色体疾患全般を調べて確定的な診断が出せますが、お腹に針を刺して絨毛や羊水を取るので、流産のリスクはゼロではありません。

非確定検査

母体の採血や超音波の画像のみで検査できるため、流産などのリスクはありません。「先天性の疾患や染色体異常が疑われる」という状態まではわかりますが、確定的な診断はできません。

着床前診断とは

着床前診断について、もう少し詳しく紹介していきましょう。

着床前診断は、体外受精が確立した後に始まった検査です。世界的には1990年に公表され、日本では2004年から特殊な例についてのみ行われるようになりました。

体外で受精した受精卵(胚)を用いて、染色体検査や遺伝子検査をするために胚から細胞を取り出して検査します。

一般検査と遺伝カウンセリングを実施後、日本産科婦人科学会での審査で認可を受けられれば着床前診断に進めることができます。妊婦さんとご家族の意思のみで受けられる検査ではありません。

海外では、着床前診断をすることで流産率はかなり減少することが報告されています。

着床前診断の流れ

  1. 採卵:卵子を取り出します
  2. 体外受精:精子と卵子を受精させます
  3. 胚生検:受精してから2~3日後、細胞分裂をした受精胚の細胞を5~6個取り出します
  4. 検査:細胞の遺伝的、染色体的検査を実施
  5. 胚移植:検査で問題のなかった胚を子宮に戻します

子宮に戻した胚が無事着床したのか、という妊娠反応の確認を胚移植後の2週間目に行います。着床率は、一回の胚移植につき約20%と言われています。

着床前診断の対象者

着床前診断は、希望すれば誰でも受けられるわけではありません。日本において着床前診断は、安全面や倫理面(男女の産み分け目的などは認められていない)も含め、臨床研究段階であるとされています。そのため着床前診断を希望する人は、日本産科婦人科学会へ申請して審査を受ける必要があるのです。

申請から認可までは、数カ月~1年程の時間を要しており、まだまだ一般的な検査とは言えません。日本産婦人科学会が提示している対象者は次の通りです。

着床前診断の種類

着床前診断には次のような種類があります。

PGT-A(着床前染色体数異常診断)

染色体数異常がないかを検査します。

PGT-SR(着床前染色体構造異常診断)

2回以上の流産をしているご夫婦の染色体構造の異常を検査します。

PGT-M(着床前単一遺伝子診断)

重い遺伝性の病気(例えば副腎白質ジストロフィーやデュシェンヌ型筋ジストロフィーなど)が、お子さんに遺伝する可能性のあるご夫婦を対象に検査します。この場合、どのような病気かわかっているケースが対象です。

着床前診断の費用

着床前診断の費用は、遺伝子疾患の種類や凍結胚を保管する場所、診断する受精卵の数などによって異なりますが、数10万〜100万円ほどの予算が必要になるでしょう。

着床前診断の懸念点

調べられるのは特定の疾患についてだけで、すべての遺伝子や染色体疾患の有無がわかるわけではありません。また、胚盤胞の成長途中の細胞分裂の過程で、突然異常が発生する可能性もあります。

また、着床前診断(PGT-A)では正常・異常の2種類だけでなく、正常染色体と異常染色体が混じったモザイクという結果となる受精卵もよく見られます。

高齢妊娠の場合では、例えば10個の受精卵を調べても7つがトリソミーやモノソミーなどの染色体数異常、残り3つがモザイクという結果となることがあります。この場合、胚移植をするとなるとモザイク卵から選択しなければならないということになります。モザイク卵を胚移植しても正常染色体の赤ちゃんができる可能性は高いと言われてはいますが、モザイクの染色体番号やモザイクの程度により心配は残ります。

また、受精卵を子宮に戻す際の着床率が約2割と低いので、検査後着床するまで排卵誘発や採卵の回数が増える場合もあります。その場合、お母さんの身体的、経済的負担が増すことが予想されます。

Dr.ぷぅからの一言
夫律子先生

着床前診断は、体外受精妊娠の場合のみに可能となる診断方法です。
着床前診断は現在臨床研究中でありますが、既に診断をうけられモザイク卵を戻したと不安をかかえて出生前診断の相談を受けることも増えてきました。
体外受精で妊娠する人が増え、診断の選択肢が増えると悩みも増えていきますが、大切な赤ちゃんのことですから着床前診断を受けるかどうかもよく考えてからにした方がいいですね。

夫律子先生

夫 律子(ぷぅ りつこ)

クリフム出生前診断クリニック胎児診断センター・胎児脳センター 院長(日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医/日本超音波医学会認定超音波専門医/臨床遺伝専門医ほか)

【監修】クリフム
出生前診断クリニック
日本初の胎児診断専門施設

分娩・不妊治療・婦人科治療は扱わず、胎児診断を専門とする施設として2006年に開院。絨毛検査13,414件・羊水検査2,098件と、専門施設として実績豊富(2009年~2019年累計)。大学病院から紹介があるほど医療関係者から信頼が厚く、全国から妊婦さんが集まります。

クリフム出生前診断クリニック クリフム出生前診断クリニック

検査内容を
公式HPでチェック

所在地:大阪府大阪市天王寺区上本町7-1-24松下ビル3F/問い合わせ:06-6775-8111
※開院年度・実績については同院HP参照