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妊娠中の薬の服用について

ママとお腹の赤ちゃんは、胎盤を通してつながっています。妊娠中のママが薬を服用すると、胎盤を通じて胎児の血液中に入り影響を及ぼすことがあるため、薬の服用やサプリメントの摂取は気を付ける必要があります。

こちらのページでは、妊娠中に服用する薬との関係について紹介していきます。

胎盤の役割と薬との関係

まずは、胎盤の役割について説明します。ママと赤ちゃんをつないでいる胎盤には、呼吸器のように酸素の供給と炭酸ガスを排出したり、消化器のように栄養素を胎児に供給したりといった役割があります。

そのため、妊婦さんはバランスの良い食事を摂るだけでなく、タバコ、アルコールといった嗜好品や薬の服用などに十分に気を付ける必要があるのです。

これらの成分が胎盤を通って胎児の血液中に入ってしまうと、成分が排泄できずに体内に滞ってしまいます。尿として羊水中に出せたとしても、再び胎児が羊水を飲み込み、胎児の身体に戻ることになります。

薬を服用する場合、その種類や量、妊娠時期などによって異なりますが、奇形や赤ちゃんの発達に関係する恐れもあるので、必ず医師に相談してください。

妊娠時期によって違う薬の影響とは

妊娠期間中、すべての時期において同レベルで薬が胎児に影響するわけではありません。こちらでは妊娠初期から後期まで、時期別に薬がどの程度影響するのかをまとめました。

妊娠0~3週目「妊娠超初期」

妊娠0週とは、最後の月経が始まった週です。ここから受精・着床するまでの約3週間、薬が胎児に影響があることはありません。

たとえ薬を服用していたとしても、その成分は1~2日で外へ排出されますし、影響された場合、妊娠(着床)そのものが成立しないでしょう。

この時期は「無影響期」と言えます。

妊娠4~7週目「絶対過敏期」

胎児の身体の重要器官(神経・心臓・消化器官・手足など)がつくられる最も大切な時期です。この時期に服用する薬によっては、胎児の奇形を引き起こす可能性があります。

ただし妊娠4~7週目の時期は、本人もまだ妊娠に気づいていないことも多く、「気をつける」こと自体が難しいのが現実です。「赤ちゃんが欲しい」と考えている方や積極的に妊活を行っている方は、医師と相談しながら薬を服用するように配慮が必要です。

妊娠8週~15週「相対過敏期・比較過敏期」

重要な器官の形成が終わるものの、まだ安心はできません。絶対過敏期が過ぎて感受性は低くなるものの、末端器官の形成はまだ行われています。薬の影響がまだある可能性も。

また排卵が遅れて妊娠した場合、重要器官の形成がこの時期にずれこむ場合もあるので、引き続き薬の服用は慎重にしてください。

妊娠16週以降「潜在過敏期」

胎児の器官形成が終わりを迎えるこの時期から、器官に対する薬の影響は少なくなってきます。

しかし、薬の成分は胎盤を通して胎児に移行することは変わりません。この時期からは、赤ちゃんの発達や機能、血管の収縮などに影響を与える「胎児毒性」に気をつける必要があります。

例えば非ステロイド系抗炎症薬(鎮痛剤)を気軽に服用すると、母体の貧血や産前・産後の出血、胎児の動脈管(胎児循環では絶対に必要な肺動脈と大動脈をつなぐ血管)が早期閉鎖をしてしまい胎児死亡などが起こる恐れがあります。鎮痛剤のうちアセトアミノフェンは妊娠中でも比較的安全といわれていますが、胎児の動脈管収縮を起こすことがあることがわかりました。妊娠中の頭痛などで鎮痛剤を希望する場合、必ず医師の指示に従い処方してもらいましょう。

とくに気を付けたい薬や成分は?

妊娠中に注意したい市販薬やワクチン、薬の成分などを説明していきます。

市販薬

ドラッグストアなどで気軽に購入できる「市販薬」。とくに「第2~3類の医薬品」や「医薬品外」の箱は誰でも手に取ることができ、説明書などもとくに読まずに服用してしまう方がほとんどだと思います。こちらでは、一般的に服用されている市販薬をピックアップして、気をつけたい成分の解説をしていきます。

解熱・鎮痛薬・かぜ薬

鎮痛剤や風邪薬は最も服用しやすい市販薬です。これらの薬の中で注意したいのが、非ステロイド性消炎鎮痛薬・NSAIDsの「イブプロフェン」と「ロキソプロフェン」です。奇形性の心配はあまりありませんが、妊娠中期以降に頻繁に使用すると、赤ちゃんの循環機能に影響することがあります。胎児に「心不全」や「胎児水腫」という症状が起こる恐れがあるため注意してください。

妊娠中でもイブプロフェンやロキソプロフェンと比べると安全で処方されやすい成分は「アセトアミノフェン」ですが、胎児の動脈管収縮を起こす可能性があるようにリスクがないわけではありません。

サプリメント

ビタミンやミネラルといった栄養素は、できるだけ食事で摂るほうが良いとされています。とくに脂溶性ビタミンである「ビタミンA」は、過剰摂取すると胎内に蓄積されて、胎児にトラブルが起こる可能性もあります。

日本人に不足しがちなビタミンB群の1つ「葉酸」は、妊娠する1〜2ヶ月前から妊娠初期にかけて積極的に摂ることがすすめられています(胎児の神経管閉鎖障害を防止するため)。その他の水溶性ビタミンであるB群やCは、尿と一緒に速やかに排出されるので、胎児に対してほとんど問題はないでしょう。鉄や亜鉛、ビタミンE、ビタミンDなども積極的に取ることが推奨されます。

つわりなどで食事を摂るのが難しい方は、医師や薬剤師に相談して妊婦でも安心できるサプリメントを選んでください。

ワクチンについて

ワクチン(予防接種)で気を付けるべきポイントは、そのワクチンが「生ワクチン」なのか「不活化ワクチン」なのか、というところです。

不活化ワクチンは、体内でウイルスや細菌が増殖することはないので、胎児に影響はありません。しかし、下記のような「生ワクチン」はウイルスが増殖して、胎児に影響を与えることが否定できないため、妊婦は接種できません。

生ワクチン

風疹は、胎児に影響を与える代表的な感染症のひとつ。風疹ワクチンは生ワクチンですので、妊娠後の接種はやめましょう。妊活をしている方で、過去予防接種の記録がなければ妊娠前に接種しておくのがベター。ただ、ワクチン接種しても抗体ができない場合もあるため、ワクチン接種した場合には念のため抗体検査をしておくと安心ですね。

一方、不活化ワクチンは体内でウイルスや細菌が増えることはありません。そのため胎児に影響はないでしょう。インフルエンザワクチンは不活化ワクチンなので、妊婦でも接種可能とされています。

持病のための薬は?

もともと何かしらの疾患を抱えている場合、長期間その薬を服用していることが多いでしょう。

そのようなケースの場合、妊娠したことがわかった時点ですぐに主治医や産婦人科医に相談することが大切です。胎児への影響が心配だからと、勝手に服用をやめると持病が悪化する恐れがあるため、絶対に避けてください。

お腹の赤ちゃんの安全はもちろん大切ですが、ママの健康が第一です。主治医や産婦人科と連携しながら、最善策をとれるように相談していきましょう。

妊娠中に避けたほうがよい成分

上記で紹介した以外にも、妊娠中に避けたほうがよいもの、慎重に使用すべきものをいくつかあげていきます。

薬やサプリメントを飲む場合は主治医に相談する

すべての薬が妊婦さんやお腹の赤ちゃんに悪影響を及ぼすわけではありません。

覚えておいてほしいのは、主治医やかかりつけの婦人科に相談してから服用することです。そして処方された薬は、決められた容量を守って服用してください。自己判断でやめたり、量を減らしたりしないようにしましょう。

もし「妊娠と気づかず、妊婦に禁忌と言われる薬を服用してしまった」という場合は、焦って自己判断したり1人で悩んだりせず、速やかに医師に相談してください。

妊娠中の薬の服用を相談する場合は、主治医や産婦人科医、薬剤師などのほかに、厚生労働省の事業である国立成育医療研究センター内の「妊娠と薬情報センター(http://www.ncchd.go.jp/kusuri/process/index.html)」へ相談することもできます。既定の問診票に記入して郵送後、電話での相談や全国の協力病院へ外来するという手間がかかりますが、妊婦と薬の専門知識を持つプロフェッショナルが相談にのってくれます。