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わずか0.01mmの受精卵。その受精卵は、卵管を降りながら体細胞分裂して胚となり、数日かけて子宮に着床します。この状態が「妊娠成立」です。このあと、出産時期まで胎児はどのように成長していくのでしょうか?こちらのページでは、妊娠月ごとにお腹の中で成長する胎児の様子や大きさなどを解説していきます。
私たちがよく耳にする「10月10日(とつきとおか)の出産予定日」とか、「妊娠〇カ月」という妊娠月数はどのようにカウントしているのでしょうか?こちらでは、正しい妊娠週や妊娠月を知るための数え方を紹介していきます。
日本の場合は、WHO(世界保健機関)の定義によって「最終月経開始日」を妊娠週数「満0週0日」とカウントします。実際この時点では卵子はまだなく精子と出会ってすらいません。しかし、このあと排卵する卵子が受精卵となる場合、最後の生理があった初日から妊娠週数を数えることになります。
また、日本の妊娠月数は「数え」の考え方を用いています。そのため、妊娠週数のスタート地点の「0週0日」は、「妊娠0カ月」はなく「妊娠1カ月」となります。
このように臨月になる妊娠36~39週が妊娠10カ月となり、妊娠40週目、つまり妊娠11カ月目の最初の日が出産予定日になります。
ちなみに欧米では「満」の数え方をするため、妊娠して4週目~7週目が妊娠1カ月です。つまり「妊娠期間は9カ月間」と計算されます。
卵子が精子を受精した後から胎芽期、胎児期へ移る様子を解説していきます。
妊娠1カ月目は、最終月経開始日(0週0日)からスタート。一般的にはこの2週間後に排卵をして、受精、着床と進んでいきます。
まず、排卵した卵子は精子と出会うために、卵管へと移動。精子とタイミングよく結びつき融合したのが「受精卵」です。そして体細胞分裂を開始すると「胚」と呼ばれるようになります。
胚は分割を繰り返しながら、3~7日間かけて卵管をコロコロと下り、ふかふかに準備された子宮内膜へ根を張ります(着床)。この着床した状態をもって「妊娠成立」となるのです。
受精卵が子宮内膜に着床して間もないこの時期は、医学的には「胎芽期」と呼ばれます。
妊娠2カ月頃の赤ちゃんは、さまざまな器官の基となる大切な器官がつくられる「器官形成期」です。中枢神経系や心臓、肺、その他の臓器の形成が始まります。奇形を起こすかどうかという点では過敏性が最も高い「絶対過敏期」でもあるので、アルコールやタバコなどはやめて、服用する薬も十分に気を付ける必要があります。
妊娠7週の赤ちゃんの大きさは約1cmで体重4gほど。まだまだ小さいですが、0.01mmの卵子が4~5週間ほどでここまで成長したことになります。
また通常であれば、妊娠5週末〜6週で赤ちゃんの心拍を確認できるようになります。
妊娠5~6週ごろから「つわり」の症状が出始めるママがいます。とくに初めて妊娠をする方に多く、吐き気や嘔吐が代表的な症状です。食の好みが変わったり、頭痛や眠気、倦怠感を感じたりする人も。症状がつらいときは、無理をしないで安静に過ごしてください。
また、目や鼻などの器官がつくられるこの時期は、たばこやアルコール、ママが服用した薬が胎児に影響を及ぼすリスクがあります。妊娠が判明した時点で、たばこやアルコールは控え、薬についても医師の指示を仰いだうえで服用するようにしましょう。
妊娠8週目に入ると、「胎芽期」から「胎児期」に移ります。超音波検査では、赤ちゃんが少しずつヒトらしい姿になってくるのが分かります。
心臓や肝臓、胃腸といった重要器管を形成する時期もほとんど終わりますが、脳などの組織はこれから発達していきます。赤ちゃんの様子は、頭部が大きくて2頭身ほど。胴や手足が発達して手足の指の様子や顔の輪郭もわかるようになってきます。超音波検査では手足を動かす様子が観察できるようになります。
妊娠11週目ごろの胎児の頭臀長(頭からお尻までの長さ)は4.5〜5.5cmほどです。体重は約10~12gまで成長します。
妊娠の維持に必要なホルモン「ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)」の分泌量がピークになります。hCGは、黄体ホルモンの産生を促すため、その影響で倦怠感や眠気が強まるママも多くいるようです。
吐き気や嘔吐、食欲不振といった症状の「つわり」も重くなる時期。子宮が急速に大きくなることで、子宮を支える靭帯が引っ張られてたり、子宮が抵抗して「お腹の張り」を感じたりする場合もあります。そんな時は無理をしないで、安静に過ごしてください。水も食べ物も受けつけないほどの重いつわり、お腹の張りが頻繁にある場合は、担当医に相談してみましょう。
ママの子宮の中でふわふわの絨毛が「胎盤」として完成していく時期。赤ちゃんは臍帯(へその緒)を通して栄養や酸素をもらうようになり、排尿が活発になり羊水の量も増えてきます。
2頭身だった赤ちゃんは、胴や手足が発達して3頭身になってきます。うっすらとした産毛も生えてくる頃です。内臓がほぼ完成し、頭や手を活発に動かしたりする様子が見られ、超音波検査が一層楽しみになるでしょう。
外生殖器は特徴を備えてきますが、超音波検査で正式な性別判定をするためにはもう少し待つ必要があります。
妊娠15週目の胎児の体重は50〜90g、頭臀長も10cmを超え、身長は14〜15cmくらいまで成長しています。
つわりが少しずつ治まり、身体の調子が楽になって妊娠生活に慣れてくる頃です。お腹のふくらみも少し分かるようになります。
つわりの症状が出なくなったあとに気をつけたいのが「体重増加」。つわりの反動で、食べ過ぎてしまうことがあります。体重が増加しすぎると、妊娠高血圧腎症や妊娠糖尿病、巨大時分娩といったリスクを招くため注意が必要です。
食べ過ぎは良くありませんが、過度な食事制限をするのもNGです。痩せすぎは低出生体重児として誕生するリスクがあります。栄養管理と適度な運動を心がけてください。
妊娠5カ月からは妊娠「安定期」に入ります。この時期の胎児の様子を中心に紹介していきます。
妊娠16~19週の頃になると、胎児は全身にうぶ毛が生え、胎脂という脂が少しずつ体を覆い始めます。手足の爪、髪の毛が生え始めるのも確認できます。感覚機能もできてきます。そのため、外界の音に反応を示すようになるのもこの時期です。皮脂腺の分泌が始まるので、指紋も現れはじめます。
脳は急速に発達し、まだまだ脳のシワはない状態ですが、脳の基本構造がほぼ完成します。
また男の子の場合は、超音波検査で陰茎の突起が確認できるようになり、女の子の場合は外陰部や子宮が確認でき、性別判定もしやすくなってきます。
妊娠19週目の赤ちゃんは身長が20~25cm(頭部は約4.5cm)、体重は250g前後まで成長します。
安定期の妊娠5カ月に入ると、妊娠12週以前と比べて流産のリスクは減ってきます。ただし、貧血や妊娠高血圧症候群も心配されるので、食事のバランスや適度な運動を心がけて、身体の変化に耳を傾けましょう。
妊婦さんによっては、18〜19週くらいから赤ちゃんの胎動を感じることもあります。
妊娠6カ月になる胎児は、筋肉や骨格が発達してきて動きが活発になってきます。髪の毛や眉毛もみられるようになり、まぶたが分離して、まばたきが見られるように。皮膚にしわができ、手足の爪も確認できるようになります。脳もさらに発達していきます。
聴覚がほぼ完成する時期です。外の声が聞こえるようになりますが、羊水の中にいるのでママの血流の音や声などが伝わってくる主な音となるでしょう。
妊娠23週頃の赤ちゃんの大きさは、身長が約30cm、体重は650g前後になります。たった4週間で体重が倍増し、これからどんどん大きくなります。
妊娠6カ月になると、お腹のふくらみが目立ち始め、赤ちゃんの動く胎動をはっきりと感じるママが多くなります。また、ホルモンの影響や大きくなってきた子宮が腸を圧迫して、便秘になってしまうこともあります。
妊娠7カ月になると、胎児の肺構造が完成してきます。またこの時期から、造血場所が肝臓から骨髄へと徐々に移行。大脳皮質は発達してきて、少しずつ脳のシワが現れ始めます。
妊娠24~27週の胎児の体はまだ痩せています。超音波画像では、産毛が全身を覆っている様子や、目を開いている様子がわかることもあります。
妊娠27週頃の赤ちゃんの大きさは、身長が約35cm、体重は1,000gを越すまで成長します。
お腹がますます大きくなり、あおむけで横になることが難しくなったり、子宮が胃を押し上げて食欲不振になったりするママも少なくありません。腰痛や頻尿に悩まされるケースも出てくるでしょう。
胎児へ供給する血液も必要になるため、心拍出量が増えて心臓の負担が大きくなり、息苦しさを感じる場合もあるので身体の変化には要注意です。
妊娠生活もいよいよ終盤に突入します。お腹の中での最後の3カ月間、赤ちゃんはどのように成長しているのか解説していきます。
妊娠8カ月になると、胎児の内臓器官が完成に近づきます。筋肉も発達して、神経系の動きも活発に。目の網膜が完成して、明るさを感知できるようになりますが、真っ暗な子宮の中にいるのでまだ何もみえません。また、母体から感染症などを防ぐ免疫グロブリン(lgG)も移行しはじめます。
男の子なら睾丸が陰嚢に左右2つ入っていることが超音波で確認されます。脳には明らかにシワが出てきて超音波で確認できるようになります。
皮下脂肪が増えてくるので、赤ちゃんの様子はだんだん丸みを帯びた姿に変化。そして頭を下にした正常位に落ち着いてきます。
妊娠31週目頃の赤ちゃんは、身長40~43cmくらい、体重は1,500~1,800gまで成長。この頃の羊水の量は妊娠期間中で一番多く、800mlほどあります。羊水は妊娠後期に入ると徐々に減少していきます。
妊娠後期に入ると子宮の収縮などが原因で、おなかの張りを感じる頻度が増えてきます。また胃のムカつきや軽い貧血、妊娠線といった不快な症状が出ることも。横になる姿勢がつらかったり、胎動が気になって寝不足になったりするママもいるかもしれません。
ママのお腹から出る準備がどんどん整ってくる頃です。産後に肺を膨らませるサポートをする肺サーファクタントが十分に分泌されるようになります。これがあれば、外の世界で自力呼吸ができます。
赤みを帯びた皮膚の色はピンク色になり、全身の産毛も少しずつ消えてきます。皮下脂肪がさらに増えて、ふっくら赤ちゃんらしい体型に。さらにこの頃の赤ちゃんは、20~30分おきに睡眠と覚醒を繰りかえしていることもわかっています。
妊娠35週目頃の赤ちゃんは、身長約45cm、体重は2400gまで成長しています。
ママの体も出産への準備が始まります。赤ちゃんと子宮内に留めるために硬くなっていた子宮頚部が、少しずつ柔らかくなり始めます。子宮に膀胱が圧迫されて、尿もれや頻尿が起こることも。めまいや貧血、骨盤周辺や腰の痛みに悩むママも増えてきます。
妊娠10カ月になると、胎児の外見は赤ちゃんらしい丸みを帯びた体形になります。骨格や内臓の各器官といったすべての器官の発育が完成。胎盤を通して母体から免疫物質が送られ、病気に対する抵抗力もつきはじめています。37週になったらいつ生まれてきても大丈夫な正期産の時期になります。
多くの赤ちゃんは、生まれる準備のために頭が下になり、骨盤内に固定され始めます。そうなると、赤ちゃんの胎動はこれまでと比較して少なくなる傾向があります(まったく胎動が感じられなくなることはありません)。
妊娠39週目の赤ちゃんは身長約50cm、体重3,000g前後に成長しています。またこの時期の赤ちゃんは4頭身で、ふっくらとした体つきに。羊水の量は妊娠8カ月をピークに減り始め、妊娠10カ月のこの時期は500mlとなります。
出産のときに胎児が通る子宮頚管が一層軟らかくなり、出産に向けた準備が進みます。また、子宮下部が赤ちゃんの頭で押されて、子宮頚管が短くなってくるのも特徴です。
この時期はいつ陣痛が始まってもおかしくありません。お産が始まる兆候としては、お腹の張る回数が増えたりおりものが増えたりすることも。子宮口が少し開いて血が混じる「おしるし」と呼ばれるおりものが出ることもあるでしょう。他にも「恥骨が痛い」と感じる方や頻尿になるといった傾向もあります。
お産に備えていつでも入院できるよう荷物をそろえておき、医療機関や家族への連絡手順などを再確認しておきましょう。