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胎児ドックやNIPT(新型出生前診断)など、国内外で報じられている出生前診断にまつわるニュース記事やトピックをまとめています。
※リリース日時が新しい順に掲載しております。
妊婦の血液から胎児の染色体異常を推定する新型出生前診断(NIPT)について、日本医学会が実施施設として認める複数の大学病院などの研究チームが、検査項目を現在のダウン症候群などに関わる三つから広げる臨床研究を検討している。拡大項目は多発奇形につながる染色体の微細な欠失などを想定。拡大してもNIPTの精度を保てるか検証するのが目的で、対象はエコー(超音波)検査で多発奇形が指摘された妊婦らに限る。早ければ年度内の研究開始を目指す。(後略)
妊婦の血液から胎児の染色体疾患を調べる新型出生前診断について、日本医学会の運営委員会は16日、昭和大学病院(東京都)など169の医療機関を、遺伝医療の専門医が常勤しているなど診断の条件を満たした「基幹施設」に認証したと発表した。(後略)
2022年6月17日に報じられた、毎日新聞の記事です。NIPT(新型出生前診断)において、今までは108の医療機関が「基幹施設」として認証されていましたが、7月1日より新たに青森県や群馬県など7県の医療機関でも認証されることに。今後は、遺伝カウンセリングができる医師が常勤していない場合でも、基幹施設と連携して研修を受けた産婦人科医がいる施設であれば「連携施設」という認証が受けられ、NIPTを実施できるようになる見通しです。
妊婦の血液から胎児の染色体異常を調べる新出生前診断について、日本医学会の運営委員会は18日、これまで35歳以上に限ってきた検査を35歳未満にも認める新たな指針を公表した。従来の認定施設の下に連携施設を設けるなどして検査を受けられる病院の数も拡大する。
3月から新指針での認定受け付けを開始し、春以降に運用が始まる見込み。
2022年2月18日に報じられた、日本経済新聞の記事です。母体血で胎児の染色体の断片を調べるNIPTでは、35歳以上の妊婦であり、希望する人のみが、遺伝カウンセリングなどの体制を整えた「認定施設」で行なうことになっていました。ただし法律で定められているルールではなく、35歳未満の妊婦は認定外の施設でNIPTを受け、遺伝カウンセリングもないまま結果だけを書面で知ることに。妊婦が不安を抱えてしまうケースが頻発している事態を鑑みて、2022年春より新指針で全年齢の妊婦が認定施設でNIPTが受けられるようになりそうです。
妊婦の血液から胎児の染色体異常を調べる新出生前診断の在り方を検討してきた厚生労働省の専門委員会は31日、妊娠・出産・育児に関する支援の一環として、国や自治体が妊婦らに検査に関する情報を提供するのを容認する報告書を大筋でまとめた。「医師が妊婦に検査の情報を積極的に知らせる必要はない」とした旧厚生省専門委の見解を約20年ぶりに改める。
2021年3月31日に報じられた、日本経済新聞の記事です。NIPTにおいては検査対象に制限があることや「命の選別になるのではないか」という背景も踏まえてか、これまで医師が積極的に妊婦さんへ出生前診断を勧めることはありませんでした。医師から情報提供することで、妊婦さんが混乱する事態を少しでも回避できれば…という意図をもって、方針転換されています。
妊婦の血液から胎児の染色体異常を調べる「新出生前診断」などの検査を受けるかどうか悩んでいる妊婦や家族をサポートしようと、厚生労働省は7日までに、2021年度から相談体制の整備に乗り出すことを決めた。保健所などに設置された「女性健康支援センター」に、研修を受けた専門の相談員を配置する費用を国が半額補助する。
(中略)
検査に関する情報だけでなく、障害のある子どもの子育てや暮らしぶりが分かる情報も提供し、障害福祉関連団体との連携も検討している。
2021年3月7日に報じられた、日本経済新聞の記事です。厚生労働省が、出生前診断を受けることを検討しているママやパパ、ご家族を支援しようと進めている政策になります。「新型出生前診断」と呼ばれるNIPTが広く認知されるようになったことを踏まえ、国も動いているようです。
埼玉医科大学大竹明教授(小児科学・ゲノム医療学)らの研究グループは、ミトコンドリア病に関する研究を進めてきました。
この度、日本人の核遺伝子変異による新生児期・乳児期発症重症型ミトコンドリア病の罹患児を出産した経験のある 13 家族に対し出生前診断を実施し、妊娠経過や各家系の発症者の情報をまとめました。
これらの情報は、ミトコンドリア病の出生前診断における遺伝カウンセリング等の際の正確な情報源として活用されていくことが期待されます。
2021年2月10日に埼玉医科大学がプレスリリースした研究報告です。ミトコンドリア病は先天性代謝異常症の1つで、約5,000人に1人の頻度で発症する疾患。根本的な治療法が確立されていないことが課題とされています。その中で、埼玉医科大学の大竹明教授率いる研究グループが、13家族に出生前診断を行ない、今後の遺伝カウンセリングの際に正しい情報提供ができるよう妊娠経過などをまとめ、報告されています。重篤なミトコンドリア病の解明や治療の開発、さらなる研究の発展が期待されるプレスリリースです。
国立成育医療研究センター(所在地:東京都世田谷区大蔵、理事長:五十嵐隆)周産期・母性診療センターの左合治彦副院長、小児内科系専門診療部の小野博副院長らのチームは、重篤な先天性心疾患である重症大動脈弁狭窄症※1の妊娠 25 週の胎児に対して、日本で初めての胎児治療を臨床試験として今年 7 月に実施しました。
2021年12月13日に国立成育医療研究センターが発表した、プレスリリースです。先天性心疾患の1つである「重症大動脈弁狭窄症」は、出生後に心不全を引き起こしかねない疾患。全身に血液を送るポンプである左心室の弁の間隔が狭くなってしまう(狭窄してしまう)状態を指します。国立成育医療研究センターは胎児大動脈弁形成術に挑み、国内で初めて成功したと報告しています。患者は妊娠25週6日の胎児で、術後は無事に生まれ、予後も良好とのこと。これから胎児の重症大動脈弁狭窄症への治療法として確立されることが期待されています。
国立成育医療研究センター(所在地:東京都世田谷区大蔵、理事⾧:五十嵐隆)周産期・母性診療センターの左合治彦センター⾧が参加している国際的な研究チーム(代表:ベルギー ルーベン大学 Jan Deprest 教授)は、先天性横隔膜ヘルニア※1に対する胎児鏡下気管閉塞術※2の有効性を評価する研究を行いました。その結果、国際ランダム化比較試験※3(TOTAL trial)において、胎児鏡下気管閉塞術が先天性横隔膜ヘルニアの胎児の生存率を有意に改善させることを証明しました。
国立成育医療研究センターによる、2021年6月11日のプレスリリースです。国立成育医療研究センター周産期・母性診療センターの左合治彦センター長が参加されている研究チームで胎児治療を行ない、国際ランダム化比較試験で生存率を改善させられたことを発表しています。横隔膜ヘルニアは、横隔膜に孔が空いているために肺が圧迫され、腹部の臓器が胸郭(胸骨や肋骨、脊柱で構成される部位)に入ることで、肺低形成になってしまう病気です。こちらのプレスリリースでは、今後先天性横隔膜ヘルニアに対する有効な胎児治療になり得るのではと期待されています。
2022年8月16日に報じられた、毎日新聞の記事です。NIPT(新型出生前診断)では、3つの染色体異常(13トリソミー・18トリソミー・21トリソミー)をママの血液から調べることを目的としてきました。3つの染色体異常に限定してきたのは、染色体異常の中でも比較的、精度の高い検査結果が得やすいためです。
しかし、今後は臨床研究を進め、検査項目の拡大を目指していることが報じられています。検査項目の拡大が実現するとしても、まだ研究も開始されていないため、少し先の話になるかもしれません。